ETS手術胸腔鏡下交感神経遮断術
※ETS:Endoscopic Thoracic Sympathectomy

ETS手術は 現代では 手汗の多汗症の手術の中では主流となっていると言っても良いでしょう。

脇の下の皮膚を 3ミリから4ミリ切開し 内視鏡を入れて 胸部の交感神経(胸から脇の間)を 全身麻酔で遮断する手術です。

手汗は 100%に近い確率で止まります。しかしながら
副作用の代償性発汗も 100%に近い確率で起こると言われている 諸刃の剣

代償性発汗とは 手汗を止める代わりに 他の部位から汗が出る症状の事をいますが

手術を受ける側は この副作用が その後の人生に於いて いかばかりの代償を伴うか と言う事を知っておく必要がありますし 医療側も きっちり 副作用や後遺症を説明をする義務があり、手術を受ける意思があるかどうか確認するインフォームド・コンセントは重要です。

ETS手術:胸腔鏡下交感神経遮断術

遮断部位:手汗をコントロールしている3本の交換神経

Th2第2交感神経
Th3第3交感神経
Th4第4交感神経

数字が小さいほど 高い位置を示し 高位の交感神経を遮断するほど 汗の減少率は高まりますがその分 副作用の代償性発汗も激しくなります。

日本皮膚科学会ガイドラインでは 現代は 第4交感神経低位を遮断する方法がとられています。

手の平の発汗を止め 副作用の代償性発汗の程度も 軽度から中等度。

交感神経の主な遮断方法

  • 切断
  • 焼灼
  • 挟む

クリップで挟む温存治療は あまりにも副作用の代謝発汗が強い場合は 再手術でクリップを外すことができるのですが 交感神経が元に戻る可能性は 時間が経つにつれて 低くなります。

内視鏡を入れる為に 脇の下の皮膚を 3~4mm切開しますが 傷跡も小さいので 体への負担も抑えられ 手術の時間もかかりません 日帰り手術が可能です。

肺を縮める処置を施します。胸部交感神経(胸から脇の間)を 出現させる為に 肺を一時的に収縮させたり移動させたり。

術後は 胸の重圧感や重苦しさ 咳き込んだりするようですので 日帰り手術であっても その日の夜から 夜勤とか 飲みに行くとかは×です。2~3日は 仕事を休んで身体をいたわりましょう。

保険適用が認められている手術方式ですので 適用されれば 費用を安く抑えることもできます。
生命保険の手術給付金の対象にもなります。
市高額医療として返金されることもあります。

interval

長年の手の多汗症に悩まされている方にとっては ETS手術のメリットは 魅力があるかと思います。

しかしながら ETS手術が注目されているのは そのメリットよりも デメリット(副作用)が有名になっているから…と言っても 言い過ぎでは無いでしょう。

ETS手術の主な後遺症

ETS手術は 手掌多汗症の治療法としては、きわめて有効な方法だと言われています。

人によっては手術をして生まれかわったと喜ぶ人もいれば 副作用の代償性発汗で 手術前より悩んでしまう人がいることも事実です。

2009年に起こされた ETS裁判は Yahooニュースのトップにも載りました。

代償性発汗

掌からの汗は 100%止まると言われるほど 手汗に関しては 確実性のある率です。

その代わりに 下半身や背中などから多量の発汗が起こるのも ほぼ100%と言う状態。

これまで出ていた掌の汗が 他の部位に移行した…というものではなくて 本来 人の身体に備わっているはずの 胸部交感神経を切断する事による 新たに発生する発汗と言われています。

発汗の種類は 汗かき程度から 多汗症程度まで 人により千差万別です。

手掌多汗症の局所多汗症の方は 掌だけに汗をかくが その他は汗をかかない または通常と変わりはない と言う方が多いと聞きます。

手汗が無くなる代償に 全身から多汗症状が出て わかってはいるつもりでも戸惑う方が多いです。
今までに苦労しなかった 着る物に困ったり 汗のニオイなども気になってきます。

代償性発汗だけではない後遺症

お医者さんが認めている後遺症

  • ほてり感
  • 高温時のだるさ
  • うつ熱
  • 手の冷感
  • 神経症…などなど

代償性発汗の後遺症が有名ですので こればかりに注意が行きますが ほてりや のぼせたような感じも 多くの方が戸惑っています。

特に 体熱が上がる 夏など高温時のだるさや 熱中症へのリスクなども大きいです。

複合後遺症状態

  • 頭部無汗症
  • ドライハンド
  • 胸下多汗症
  • 体温調節機能障害
スプリットボディ症候群

スプリットボディとは 分断された体 という意。

胸から上の部位顔や頭 など 汗が出なくなって 熱がこもる。
胸から下の部位多汗症(重度)

一人の人間の体が 無汗症と多汗症に分割されている状態。
海外では スプリットボディ症候群と呼ばれ 日本ではETS症候群と呼ばれています。

人間の身体は頭(脳)を第一に守るようにできています。
季節的に暑くなってきたり 運動したときなどは 誰でも 汗ばむと思いますが 汗は身体を冷ます役割を持っています。

脳の機能は正常ですので 脳を守る為 頭を冷却する為に 汗を出せと命令し 出させます。

しかし 胸部交感神経を切断していますので 分断されてしまうと 頭には汗を出す事ができずに 胸やお腹 背中 下半身から出てしまいます。

いくら汗を出させても 頭の冷却ができないので いつまでも 汗が出続けます。
汗が出ている部位を 物理的に冷やすしか 汗を止める術がなくなるようです。

重い後遺症の例は 切断した交感神経の位置が高くなる(高位)に従って 後遺症も比例して重度になる背景があります。

ですので 今 現在は 低位第4交感神経(Th4)の切断が 第一選択肢となります。

後遺症の軽~重度は個人によって違い 切ってみないとわからない…という それこそ賭博のようなところがありますので

手汗が止まるのなら 試してみようか…
掌の汗が不快だし 快適になりたいので…

ぐらいの思いであれば 特に手術に踏み切る必要性が低いと思われますので 体にやさしい方法から 選択するのがよいでしょう。

交感神経は本来は 人の身体に必要な自律神経で 遮断してしまっては 再生不可能。
2度と元の体には戻れません。
副作用以外にも 10~20年後の体全体に及ぼす影響は無いとは言い切れないし 未知の世界です。
手汗など多汗症は 年齢と共に 自然治癒する傾向がある事も知っておきましょう。